渡邊妙子氏は、蜻蛉切と貞ちゃんがとうらぶとコラボした静岡県は佐野美術館の館長さんであり、女性でありながら刀剣に関する本を何冊も執筆されている方です。

私の個人的な思い出?としては、刀剣乱舞がきっかけで「もっと刀の事が知りたいな」と思った時、ちょうど銀座の刀剣のお店に氏の本「名刀と日本人」が置いてあり、「あ、薬研藤四郎が詳しく載ってるから買おう」と買い求めたのがはじめての刀剣本でした。
以来、色々な刀剣に関する本を読みましたが、「名刀と日本人」が私はいちばん好きです。
その後、同じ店で「短刀の美」という佐野美術館でかつて開催された展覧会の図録を買いましたが、そちらに掲載されている氏の文章も、愛を感じる造詣深い文章でした。

そんなわけで、「日本刀は素敵」も読むのをとても楽しみにしていたのです。

日本刀との出会い。
想像以上に厳しいものだったんだなあ・・・とビックリしました。学芸員なのに、「女は刀に触れたら穢れるからダメ」と展示会でも蚊帳の外だったり、それでもそんな状況の中熱心にお願いして、努力もされて、最終的には「並の男性より刀に詳しい」と評価されるようになるってもうすごい。

私は現在の渡邉氏を著書でしか知らない身でしたが、そこに辿り着くまでの苦難や気遣いを考えるともう並の精神じゃつとまらないだろうなと推察できます。
(宗三の展示について、建勲神社さんから怒られた事もあったとか、そういうエピソードも載ってます)
日本刀研究の第1人者といえば、佐藤寒山先生が浮かびますが、渡邉氏は信仰があったらしく、受け継がれていく何かを感じました。
今でこそ、刀剣乱舞からはじまったブームのおかげで私たちはとてもライトに美術館や博物館での展示の恩恵にあずかることができますが、昔は本当に大変だったんだなあと…
まあ、同人もですしどこの世界でもその道を追求する世界っていうのは、他の刀剣好きのブロガーさんの記事でも拝見しましたが、面倒な事も多いんだろうな。

 

渡邉氏のさりげない刀についての造詣の深さをかいま見せる豆知識も色々載ってます。
刀の名前に何故「丸」が多いのか、とか。(Twitterで見かけた、親しみを込めてとかもありますがそれとはちがいます)
古刀、刀工、刀派についても相当そうだったのか!っていうこと多数。

あと、渡邉氏が生駒光忠をはじめて手に取られた時に感じた感覚というの、あれ、私も生駒光忠じゃないけどあります。もしかしたら人にはそれぞれそうやって、心の中にスッと入ってくる名刀があるのかもしれないなあーと思いました。

巻末の、阿部総理の夫人との対談もおもしろかったです。
すごいぞ、渡邉氏にかかったらあの蜻蛉切も「男の子」ですぞ。

難しい表現や専門家に特有の威圧感を一切感じない文章の一冊ですので是非よんでみてください。佐野美術館にもいつか行きたいな〜〜!!
↓何故か表紙が違う画像で表示されていますが気にしないで下さい…アプリのイタズラです。

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