今回は自分の振り返りです。

結論から言えば「同人活動やっててよかった」という話です。

念願のプロデビューのために、作品を描いて出版社に持ち込みをする方をかなり見かけます。最近だと、ジャンプルーキーなど出版社の投稿サイトで連載を勝ち取るという修羅の道も見かけます。

実を言うと、私はこれまで1回も読み切りを描いて持ち込みをしたことがなく、新人賞などへの応募もしたことがありません。
と、いうか、そんな勇気と根性がありませんでした。

だって、頑張って描いた漫画をただ見せるだけで批評されて下手したら一銭も入ってこないって、ものすごくつらいじゃないですか。

昔、私が学生だった頃は、ネットも発達していなかったので、描いたイラストや漫画をみんなに見てもらうためには、イラスト投稿雑誌や読者コーナーにイラストを描いたハガキを投稿するしかありませんでした。大体が手描きです。
雑誌編集部が没にしたイラストはもちろん返却されず、誰からも見られず捨てられていったと思います。

私にとっては、雑誌持ち込みや新人賞応募はこれと全く同じだなあ、という感覚です。
せっかく描いても没になったらその作品はもう見てもらえない。今はTwitterに上げることもできますが自分の中では「賞に応募して落ちた漫画」という悲しい記憶が残る。
せっかく描いたのに、そんなのは悲しすぎやしないでしょうか。

同人活動は、この限りではありませんでした。
自分でペーパーを発行して、いわゆる相互フォローの人に配りあってもらい、知ってもらうという活動がありました。お金はかかるけど充実していました。

そんな流れもあって、「何か作品を作るなら同人誌だ」という感覚は私の中に自然とできていきました。

同人活動と一口に言っても楽しみ方は人それぞれなので、ここは登山モードとピクニックモードに分けようと思います。

登山モード

・原稿は絶対落とさない。
・新刊が売れなくても、次はいい本を出そうという意気込みで本を出す。
・流行りの表現、表紙デザインなど流行に常にアンテナを張る。
・頑張って大手になりたい。壁がだめでも誕生日席や島角を目指したい。
・作品を描いていて苦しいが新刊の段ボール箱を開けて自分の本を見た時に苦しさが吹っ飛ぶ。

ピクニックモード

・「出せたら出す」「背景は殺した」「折れば本」に共感
・原稿よりゲームが優先、同人原稿の締め切りに追われることをつらく感じる。
・自分の描きたいもの優先、流行や見やすさは二の次。楽しければよし。ダメなら落としてもよし。
・イベントは友達との交流のために申し込む。

これは、どちらがよくどちらが悪いというものではありません。同人活動は趣味です。趣味の楽しみ方は、人に迷惑をかけなければなんだっていいです。
(とはいえ、新刊予約をとっておきながら都合でキャンセルとかはダメだと思いますが…)

ただ、プロになれるのは「登山モード」の人の方です。

なぜか?
「めちゃくちゃ考えているから」です。

売れるためにはどうしたら良いか?表現力を上げるには?もっと絵が、ストーリーが、上手くなって部数に繋げるためにはどうしたら良いか?こういうことを、常に考えてそれを当たり前にやれている人たちだからです。

商業漫画は、「お金を払って読んでもらう作品」です。
同人活動は、「お金を払う価値が自分の作品にあるのか」を知ることができる機会でもあります。

私自身、いうほど登山モードの項目をクリアできているわけではありませんが、「一生懸命同人活動をしてきた」ということだけは、胸を張って言えます。
もともと東京から遠く離れた四国に住んでいて、交通費だけで赤字でした。出した本が売れなければ、さらに大赤字です。
同人活動を続けていくためには、まず活動用の資金がちゃんと回るくらいに売れなければ話になりませんでした。なので、毎回必ず新刊を出しました。カップリングやジャンルが大人気とは言えないところにいることがほとんどでしたが、なんとか活動することができました。
ほとんど自分以外描いている人がいないカップリングで、伸ばすにはどうしたらいいか?という縛りプレイのような感覚もまた楽しかったです。


この経験が、今の連載中の執筆に活きています。
それに、赤字になることもしばしばですが、自分の描いた作品にお金を払ってくれる人がいるというのは自信にもつながりました。

その後、刀剣乱舞の爆発的な流行がきて、推しの薬研が大人気なおかげもあってたくさんの方に作品を見てもらう機会が増え、今に至ります。

pixivに同人誌のサンプルや再録を掲載しているのは大きいようです。
最初にお声がけをいただいたときは「pixivに掲載されている漫画を見て」とのことでした。
現在準備が進行中のもう一本の連載の方は、Twitterで「幼な刀〜」の再掲がバズった時に目に止まり、検討してくださったとのことでした。

こう書くと、もう薬研藤四郎と刀剣乱舞のおかげとしか言いようがないのですが笑、これまでの活動経験が薬研の二次創作に収束し結果につながってくれたのだと思います。


最近は前のようにたくさん話を描けなくなってしまいましたが、それでもこれからも同人活動は続けていきたく思います。
趣味と実益を兼ねる楽しくて苦しくて充実感のある同人活動、最高!

おすすめの印刷所は日光企画さんとブロスさんです。少部数ならプリントオンさんです。以上です!

余談

単行本特典のためのイラストを描くことがあります。
編集さんから、このように指定をいただきます。

イラストカード 100×148(+各3mm)
メッセージペーパー(A6) 105×148(+各3mm)
ブロマイド 89x127mm(+各3mm) 

同人をやっていると、ノベルティなどでポストカードを描いたりすることもあるので、テンプレのデータの準備も容易ですし、「メッセージペーパー」も「ああこういうかんじね」とすぐイメージできます。
こういう細かいところにも活きてくるので、ぜひいちど推しのジャンルもしくはオリジナルなどで、同人活動やってみてね。