「解釈」という魔物と上手に付き合う方法を考えてみた

先日のインテで、とても素晴らしい同人誌を購入しました。
あまり長編の同人誌を見かけないキャラだったので、「いい本に出会えて嬉しいです」とお伝えすると、作者さんに、「解釈が合えばいいのですが」と言われました。
そのとき、こんな画力も高くてすごい話を描ける作家さんでも、事前にそんな風に言わないといけない状況なのか…とちょっとビックリしました。

 

「解釈」って言葉、概念としては昔からあったのですが女性向け同人ではここ5年くらいの間に出てきたような体感です。有り体に言えば、個人のキャラやカップリングに対する主観、というかんじでしょうか。「キャラ解釈」で検索しても沢山の記事が出てくるし、ファンの間でのもめ事の半分以上この解釈ってやつが原因な気がします。
この記事を読んでくださっている方も、何か好きな作品の二次創作などを読んでいるときに「あれ?このキャラってこんな感じだったっけ」という軽い違和感や「こんなの◯◯じゃない」と感じた事があればそれが「キャラ解釈の相違」です。合う作品や合わない作品があるのは当たり前だし、もし苦手な作品があったとしてもその作者の嗜好をとがめるのはお門違いだと私は思います。なんだか最近は、「よそにこう思われたらどうしよう」という配慮が昔よりだいぶキツくなったというか、読み手側も描き手側も必要以上に配慮してるような、そんな気がします。
SNS等で簡単に作者さんにコンタクトがとれてしまう以上、仕方のない流れなのかもしれませんが…

 

私が最初にキャラ解釈という概念を感じたのは、ペルソナ2の達淳同人誌を沢山読んでいた頃です。といっても、リアルタイムではなくリファインが出た2011年で、中古ショップで手に入れた1999〜2000年初頭の同人誌の前書きなどで淳に対するキャラの作り方などについて作者さんが書かれていたのを拝見したときです。
ペルソナ2は作中にも淳が「達哉が見ている僕とリサが見る僕では若干の違いがあるはずだ」(要約)と達哉に話すやりとりがあるように、いわゆる解釈が如実に出ている作品ですが、だからこそ二次創作界では色々な達哉や淳がいます。ただ、当時はいわゆる「解釈違い」でもめる事は滅多になかったそうです。私が活動していた2011年も、同じカップリング間ではそういった事は皆無でした。

その頃から、描き手によって表現するキャラが違うということはあって当たり前ということをわかっていたはずなのですが…
私自身、それがわかっていてもキャラクターによって許容できるキャラとできないキャラがいます。思い入れの深さはそう変わらないはずなのに、何故なのでしょうか。
多分、自分の中でここまでは大丈夫という無意識のボーダーラインがあって、それを超えると許容できない、という状態になるのだと思います。「供給が少ない」「カップリングだから」等の理由でそのボーダーラインは自分勝手に上下するのですが、それは何かを好きになってしまった以上仕方のない事なのでしょう。

 

解釈と付き合う方法その1「自分が何故そのキャラ(カップリング以下CP)を好きなのか、どこが好きなのか、を言語化してみる」

 

漫然と「推し尊い」と言っているだけでは、Twitterの破壊力の高い140文字にはあっという間に心が流されてしまうと思います。Twitterの上限文字が何故140文字なのかというと、脳にダイレクトに伝わる上限がこの文字数なのだと何かの本で読んだことがあります。
それだけインパクトの強いタイムラインで、言葉の強い人が呟くと、それだけで影響されてしまうでしょう。
自分のキャラ観を貫きたい、と思っている方は、一度文章で書き出してみる事をおすすめします。
ちなみに、この方法は藤田和日郎先生の「読者ハ読ムナ」にも近い事が書いてあります。

自分なりの主観をしっかり言語化しておく事で、「この人はこうだけど、私はこうだから」と自分を保つ事ができます。

 

解釈と付き合う方法その2「他に逃げ道をつくる」

 

カップリングやキャラに一途になりすぎると、今度は例えば公式サイドが自分の希望していない展開を打ち出したときに心が打ちのめされてつらくなります。
私の場合は、(詳細は省きますが)ジョジョEoHがそれだったのですが…その時は刀剣乱舞があってよかったと思いましたし、逆に刀剣乱舞で受け入れがたい事があると、ジョジョの黄金の精神を思い出して立ち直れたりしました。女性向けと男性向けを両立するのもいいと思います。カワイイ女の子は癒しです。


解釈と付き合う方法その3「同じ推しではないが話は理解してくれる友人を作る」

同じジャンルでも専攻カップリングが違うとか、作品は知っているけど別ジャンルで活動しているとか、そういう友達が一人いるだけで違います。
作品を人目につく所に出していれば大なり小なり色々あるもんですが、大体友達関係が長く続くのって考え方が近い相手が多いので、お互い愚痴を言ったりしてスッキリ、とか結構おすすめです。


解釈と付き合う方法その4「他人を変えようと思わない」

よく「作品で殴る」という言い方を見かけます。
対象は主に対抗カップリングの愛好者だったりする場合が多いようです。私も血気盛んだった頃はこの言葉の通りだったこともありましたが、その頃を思い出しても思います。
「殴っていたと思っていたのは自分だけで殴れてなかったな」と…

考えてみれば不毛な行為です。
同人誌って元々、自分の「好き」を表現するものなのに、嫌いな相手を殴るために使ってどうするのだと。
勿論、怒りが原動力で作品を描き上げる方もいるのでこれは人それぞれですが、私の場合は、多分こういうスパイラルに陥るなと予想できます。

対抗CPの相手を殴るために作品を描く

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同じCPの人ではなく、対抗CPの反応のほうを気にしてしまう

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何が描きたいのか、自分がどこに行きたいのかわからなくなってくる

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精神的に疲れて、ジャンル変更

また、刀剣乱舞ではありませんが、過去のジャンルで「こんなの◯◯じゃない」的なメッセージをもらった事は何度かあります。今思えば、メッセージの送り主は私の描くキャラが自分の希望と違っていたために怒ったのだと思いますが見当違いもいいところです。そんなメッセージを送った所で、「じゃああなたの望む◯◯を描きます」となるわけがありません。
それよりは、自分の理想の二次創作を探して作者に激励メッセージを送り、作品を量産する原動力にしてもらう方が生産的だと思うのですが。

 

解釈と付き合う方法その5「違うジャンルの作品を見て表現方法などを磨いてみる」

二次創作を見るための時間を、表現したい事をブラッシュアップするための時間にしてみました。私の場合はバトル漫画を沢山読みました。
また、-ONLINE-をプレイしているとき、実際は立ち絵が動くのみの画面ですが、「ここでこうやって敵を倒すのかな」と動きをシミュレーションしたりしました。
歴史関連のサイトなどもよく見ました。

 

解釈と付き合う方法その6「他の作品を見ない」

一番手っ取り早い方法です。でも、なかなか難しいですよね。特にカップリングを専攻していると、他の人に作品がとても見たくなると思います。

自分の場合ですと、現在の私のメインジャンルは「刀剣乱舞」、専攻キャラクターはアニメ2つと舞台でも登場する「薬研藤四郎」。人気キャラなので、二次創作もたくさんあります。

薬研の話を描こうと決めた2015年の2月から、私は薬研関連の二次創作を見る事をすべてやめました。なので、人気の作品もどういう傾向が好かれているのかも、ほぼ知りません。
先述の「自分の中での許容のボーダーライン」がどのように働くかわからなかったからです。
もう一つは、一般向けで活動しようと思っていたのでカップリングが9割を占める二次創作を見たら、やはりそれこそどういう思いになるかわからなかったからです。
それまでのジャンルでは、他の方の作品を楽しんでいましたし、現在でも薬研以外の作品は楽しく拝見しています。

薬研の創作に関しては着地点に描きたい話が2年前から決まっていて、そこに到達するための物語を描いている途中です。
表現したい事がどうしてもある場合は、他の作品の影響を一切受けず、自分の中から生まれるものを表現するというのも同人活動の醍醐味の一つではないかと私は思います。
公式の関与したスピンオフに関しては後述しますが、こちらは公式設定を汲んでいる事が多いので見ています。が、しかし、それでも私の薬研観とだいぶ違う薬研がそこにいるので新鮮です。

 

公式スピンオフ等で解釈違いが発生したとき

 

つらいですよね。心が濁りますよね。私も何度も経験があるのでわかります。
ただ、「これはもう変えようがなく、動かしようもない事なのだ」という事をもう覚悟するしかないと思います。
この展開がいやだから変えてくれとファンが要望を出して公式が動く、ということは、ないわけじゃないと思いますがほぼないからです。

そういうときは、波立つ感情をしずめるためにしばらく作品から離れてみるとか、他の事をしてみるとか、気持ちを逃がす事が大事です。
気持ちに余裕があれば、「何故不快に思ったのか」を冷静に書き出してみるのもいいと思います。
愚痴を文字にして吐き出すような場所には、絶対に行ってはダメです。ますますどんよりした気持ちが加速します。

私の場合は、花丸7話の薬研くんがちょっと苦手でした。
けれど、時間が経ってだんだん、そういう薬研くんが大丈夫になってきました。
兄弟をとても大事にしているからこそ、3話から7話に帰結したんだなと自分の中で納得できたからです。今では花丸のコミカライズを読み返しては「かわいいなあ」と思ってます。2期が楽しみです。

 

 

まとめ

 

二次創作界は、言ってみれば自分の考えた最高の推しキャラを見てくれという世界です。
解釈というのは、受け手によって幸せになれるものでも、気分を悪くするものでもあります。しかしそれによって二次創作界は成り立っているので、意識して上手に付き合えばきっと「こんなの◯◯じゃない」というもやもやした気持ちよりも「良い作品に会えてもっと◯◯が好きになった」という気持ちの比重の多い二次創作ライフが送れるのではないでしょうか。
私もまだまだ精神修行中ですが、最終的にはそんなふうに思える気持ちのありようを目指したいなと思ってます。