いわゆる「アクションシーン」を同人誌で描いてみての雑感

前提:私はプロの漫画家ではありません。商業経験はほぼゼロです。なのでこれは趣味で二次創作の同人誌を発行しているいち同人作家の雑感として読んで下さい。

と、逃げ道を作っておいて、今一番注力している「カッコイイアクションシーンを描くには」について自分なりの反省と、思っていることを書いてみます。

同人活動歴はそれなりに長いのですが、カップリングの恋愛漫画をメインで描いていた手前、戦うことが前提のジャンルでもバトルシーンというものはほとんど描く必要のない漫画を描いていました。
カップリング漫画というものは、キャラクターどうしの恋愛に重きを置いて描くものなので、「戦うジャンルなのに戦ってない」なんてことは気にもしませんでした。今でも、そういう漫画を描くなら気にする必要はないと思います。
2009年〜2011年で描いたのは、覚えている限りでこのくらい。

幻想水滸伝ティアクライス。ラスボス戦です。すごくどうでもいいけどこの頃コミスタ使ってたのに、集中線定規の存在もパース定規の存在も知らず、全部直線ツールで描いてた笑

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うみねこのく頃に。マモンも戦う家具なのに、そういえばやっぱりちゃんと戦ってるシーンを描いてなかったなあ…

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ペルソナ2。初めて描いたチャンバラのシーンですが・・・

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よく見ると達哉さん、なんと刀の峰でシャ達の攻撃を受けている。技が高度すぎる!っていうか刀にヘンな力がかかって折れちゃうよぉ、やめて!!と現在審神者である私は思う。リサは達哉の身を案じているけれど、正直、達哉より刀が心配である。
さらによく見ると、2コマ目でなんと逆刃刀の恐れすら出てきた。達哉さん…るろうに剣心だったの?

さらにその前のコマ。

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カッコいいシャドウ達哉を描きたかったのは思い出せるけど、まずどういう状況でそのポーズ、その効果音になるのか解説してくれえええええええええええええ/^o^\

と、このように、恋愛主体の漫画を描いていると、アクションシーンなんて飾りですよ、とりあえず戦っているのがわかればいいのです( ˙▾˙ )という、ある種開き直りのような状況になるのです。思ってた以上にヒドかったなあ…達哉さんにも達哉さんの刀にもゴメンナサイしなければならない。

そして時は流れて、今度は私のメインジャンルがジョジョにうつります。活動傾向も、カップリングではなくコンビとなります。

ジョジョはバトルのお手本が原作にあるので、ゲームジャンルの上記3ジャンルよりは戦っている場面を想像しやすくてよかったのですが…

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やっぱりジョジョなので、それはもうジョジョ特有の世界にしかならない世界なのです/^o^\

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このころの本を読み返していて思うのですが、できるだけ画面の密度を上げまくろうと努力した結果、書き込みは頑張っているけど読んでてすごく疲れる漫画になってしまっていました。
ジョジョの本ならば、まあそれでもいいかなと今でも思うのですが、こんどはジャンルがジョジョから刀剣乱舞にうつります。

ジョジョでは、コンビ時々カップリングという女性向けに片足突っ込んだ状態でした。しかし刀剣乱舞(現在)では完全に「全年齢一般向け」という傾向になりました。
こうなると、上記のジャンルのように「恋愛主体だからアクションは飾り」とか言ってられなくなってしまいました。しかも、「せっかく刀剣男士なのだから戦っているシーンがいっぱい描きたい」、という欲まで生まれてしまいました。

ところが、当然ながら薬研はペルソナもスタンドも使いません。武器は短刀で、跳躍力はあると思われますが空は飛ばないし、魔法だって使いません。つまり、これまで描いてきたなけなしのバトルシーンの経験は使えないと言ってよい(そもそも使っていいものか微妙ですが)状態でした。
そんな状態で、いちから「戦う薬研本」の原稿を始めました。

まず、念頭に置いたのは、「敵あっての主人公」ということです。
ゲーム上では台詞がありませんが、存在感を出せるよう敵もしゃべらせるようにしてみました。レベル1で攻撃も防御もまだ全然できない頃の薬研と対比するように描いてみました。
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次に「顔をあんまり描かない」を念頭に置きました。

これは商業作家の友人と話していて教えてもらったことなのですが…どうしても、同人誌では「かっこいい」を表現するために顔(と台詞)を描いてしまいがちです。恋愛漫画ではそれでいいのですが、バトル漫画でそれでは、「強さ」を絵面で伝えるのが難しくなってしまうそうです。なるほど〜〜と思いました。たしかに、これまで描いてきたバトルシーン、顔ばっかりで引きがありませんでした。特にペルソナ2のほうは、何をしているのかわからないという状況だし、栄吉に台詞で説明させているし、達哉さん刀さんゴメンナサイ(2回め)

そこで、そんな反省を活かしてあえて斬られる方を大きく描いて、主人公サイドは引きで描いてみました。

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表情で見せたい場面がある時は、そこだけに目がいきやすいように、他のコマでは顔をこちらに向けないか、思いきり引きで描いてみています。

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たぶん、右下の薬研がこっちを向いていたら、読む時に右上の薬研と右下の薬研で目線がバラバラになってしまうと思われます。

これは野村萬斎さんがゆづくんに「陰陽師」の演技指導のアドバイスをされていた時のお話なのですが、能でもここぞという見せたい動きの前には引いて引いて引いてから見せるそうです。そうすると、見せたいと思う部分がいっそう際立つのだそうです。
「流れる時間を表現する」という分野においては、これは漫画表現にも共通するのでは!?と思いました。

あとは、「敵の強さもちゃんと表現する」

刀剣乱舞は、ゲーム上では、単純に敵の遡行軍をバッサバッサ斬って行く進行です。実際の侍同士の斬り合いも、一瞬で勝負がつくものと思われますので、ゲームの上ではこれでいいと思います。

しかし、バトルがメインの漫画となると話は違ってきます。最終的に斬られるためだけにいる敵ではあるけれど、ただ斬られ倒れるだけでは、レベル1のスライムでもレベル99のラスボスでも一緒なわけです。
レベル1のスライムを斬ってドヤ顔をされてもカッコよくないし薬研はそんなことしない(確信)…と、いう思いでラストバトルを描きました。

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結果的に、こんなことを考えながら描いてたら100ページの本ができたわけですが、これまで心の動きが主体のカップリング漫画を中心で描いていただけに、今つたないながらも表現を模索して、よりかっこいい薬研をまんがで描く、という現在の状況はとても楽しいです。
いまむかしの少年&青年漫画も色々読んで勉強しました。これまでバトル漫画といえばマトモに読んだことがあるのは聖闘士星矢とジョジョだけだったのでメチャ勉強になりました。

個人的なおすすめ作品
・「遮那王 義経 源平の合戦」沢田ひろふみ   作画がすごいです。ちなみに何で15巻かって、政長さんの血の繋がりはないですがご先祖様が出ているので(それでまずおすすめしてもらった)
・「CLOCKWORK」吉岡榊・富澤義彦   ガンアクションがすばらしいです。作画がきれいで女の子がめちゃくちゃ可愛いです。でも幕末刀の皆さんには心からおすすめ出来ない内容…
・「無用ノ介」さいとう・たかをプロ   人物、背景から殺陣まで「紙で映画を表現したい」と仰っていただけのことはあってすごいです。
・「飛び加藤」桃尻三郎・小池一夫   全2巻が無料で読めます。小池せンせい原作なのですけべなシーンもちょっとだけありますからそういうのが苦手な人は1巻の後半から読もう。薙刀の戦い描写がすごい。あと、長く生きてるイケメンショタって最高。

それと先日、藤田和日郎先生回の「漫勉」を観ました。
すごかった…まさかアタリから直接ペン入れでミスノンで直しながら描かれているなんて。。。しかも目から。藤田先生にとって、目はかなり重要らしいのですがその重要なところからまず描かれるなんて…
おまけにアクションも、人物周りはノー定規、フリーハンド。巨匠だ…と思いながら観ました。

その藤田先生が、浦沢先生に「何故体力の要るアクション漫画を描き続けるのか」と聞かれた際「読者をワクワクさせたい」と仰っていました。
それを見て私も、「ああ、これだなあ」と思いました。

戦っているアニキを見て私がワクワクするように、私も、私の同人誌を読んでくれる人をワクワクさせてみたいです。カップリングの時にはこれがありませんでした。技術や見せかたも大事ですが、やっぱり大事なのは「どうしてそれを表現したいのか」なのかもしれません。
夏に発行予定の本も戦う薬研本2ですが、冬に出した本の反省を色々活かして、より読みやすくて楽しいお話が描けたらいいなあ。